建具キープランと建具表との関係について、前回までの話で色々と説明をしてきましたが、何となくイメージは掴めて来たでしょうか。
実際に色々な建物を見ていくと割とすぐに分かる事ですが、建物の中には建具が結構な割合で存在しているものです。
単純に考えると、部屋が一つあった場合には、その部屋へと入る為に最低でも一箇所は建具が必要になるという計算になります。
また、外壁に面する部屋であれば、出来るだけ外部の光を建物内に取り入れたいところなので、窓の配置なども検討していく必要があるでしょう。
そうやって考えていくと、建物にとって建具というのはかなり重要な要素になってくるのではないか、という結論になってくる訳です。
例えば部屋の出入り口にある扉が鋼製ドアなのか、それとも木製ドアなのかによって、部屋の雰囲気というのは結構変わってくるもの。
そうした建具の仕様を指定していく建具表は、建物をデザインする意匠設計者にとっても、実際に建具を製作して取り付けていく施工者にとっても重要な図面だと言えます。
ただ、あくまでも建具表というのはリスト形式で建具の仕様について記載していく図面なので、壁との関係などの表現をするのが難しいという欠点があります。
上図が前回サンプルとして紹介した建具表ですが、図形として存在するのは建具の姿だけで、細かい部分の描写というのはなかなか難しい状態です。
そこで登場するのが今回紹介する建具詳細図という事になります。
建具詳細図というのは読んだままの図面ではありますが、建具についての詳細だけを表現していく図面になっています。
建具詳細図のがどのような縮尺で表現されるかというと、図面としてはかなり拡大されて、縮尺1/5程度でかなり細かい部分まで表現が可能です。
もちろんこの詳細図単品ではどの部分を表現してるのかは分かりませんが…
建具キープランと建具表によって、建物のどこにどのような建具を配置していくのか、という方針が示されているので、その情報に追加する図面という立ち位置の図面になります。
例えば外壁に取り付けられるAWがあったとして、そのAWの巾や高さや仕様などは建具表に記載されていくことになります。
しかし外壁との関係までは表現することが出来ないので、そうした情報は建具詳細図によって表現される、というような使い方をします。
建具詳細図は上図のような図面になっていて、アルミ建具メーカーの協力によって、実際のアルミ建具図面を利用した細かい表現が可能になっています。
この図面を見ると、外壁タイル面から少し面落ちをさせてアルミ建具を納めたい、という意匠設計者の意図が一目瞭然になります。
建具のサイズや仕様などでは、こうした面落ち納まりのイメージは伝達しにくいものがあります。
そうした表現の為に断面図や矩計図が存在して、そこで外壁まわりの建具を面落ちさせた表現をしていくことになるのですが…
建具詳細図では建具だけにフォーカスして表現していく図面になるので、より細かい部分まで表現をしていく事が可能なんです。
こうした詳細図を何枚か用意しておく事で、意匠設計者の意図をスムーズに施工者へと伝達することが出来るようになる訳です。
建具詳細図は部分的に大きく拡大されている図面である為、たとえ建物のプランが変わった場合でも変更する必要がありません。
ただシンプルに建具の納まりをこのようにしたい、という意匠設計者の意図を示すことが出来るので、情報を明確にする為にもぜひ用意しておきたい図面です。