建築というのは、まず何もない更地があって、そこに何か目的を持った建物を計画して、それを実際に建てていく事を意味しています。
建物を造っていく際に、具体的にはどのような建物を造っていくかを計画するのが設計者、その計画を実行に移すのが施工者という事になります。
設計者と施工者の役割などについては以前のカテゴリで色々と説明をしてきました。
今回は設計者が建物の基本方針として作成する設計図、施工者が実際の施工を進める為に作成する施工図の種類と役割について説明をしていこうと考えています。
更地に建物を新しく造っていく、という話でしたが、場合によっては既に建物が建っていて、それを壊して新しく建物を造る場合もあります。
そうした場合には、まずは既存の建物を解体する作業が発生して、敷地を更地にしてから改めて建物を造るという手順が必要になってきます。
いずれの場合でも、建物を建てる為にはまっさらな土地が必要なことに変わりはありません。
建物が何のために建てられるのかという目的は様々です。
例えば人が住むためのマンションであったり、勉強するための環境である学校だったり、健康を維持するための病院だったりと、その種類は数え切れないくらいあります。
どのような種類の建物で、その運用をどのように考えていくのか、というあたりの計画は施主が作り込んでいく事になります。
そうした計画がある程度具体的になった段階で、建物の用途と敷地の条件とコストなどの条件をベースにして、設計者の具体的な計画をたてていく事に。
それぞれの敷地条件に沿った建物の用途を考え、建物を建てる為のコスト、その建物が竣工した後で生み出す利益などを意識しながら建物の計画を進める。
このあたりの検討は設計者が受け持つことになる訳です。
敷地の条件に沿った適切なプランを検討していき、基本設計段階から実施設計段階へ、そして施工段階へと設計者は少しずつ検討を進めていきます。
その中では様々な部分で「実際にこうして施工を進めても問題ないか」を確認しながら、より良い建物になるように調整をしていきます。
言うまでもない話ではありますが、こうした調整作業は非常に重要な役割を担っています。
何もないところから建物を造っていく中で、特に何の考えもなくいきなり建物を建てていくのはリスクが高すぎで、上手くいくはずがありません。
それでは全然プロの仕事とは言えないので、事前にあらゆる角度から様々な検証をしながら建物を造っていく事が求められます。
このような事前の検証をしないまま、まずは設計図通りに建物を造ってみて、それから実際に上手くいかなかった部分を修正していく。
…というようなやり方も可能ではありますが、そんなことをやっていたら時間とお金がいくらあっても足りません。
そのような無駄をなくすためのツールとして「図面」があるんです。
建物を建てる前にあらゆる角度から検討していく為には、設計者であっても施工者であっても、必ず図面によって事前に建物の納まりを検討することが必要になってくるんです。
図面はかなり細かい内容を紙の上で表現しているものですから、作成するのは非常に手間がかかるものですが、それでも図面を作成しないという選択肢はありません。
図面は建物を建てていく中で非常に役に立つ存在、という表現はちょっと適切ではなくて、建物を建ていく中でなくてはならない存在、という感じです。
実際に造ってみてから問題のある部分を修正していくのではなく、図面上で実際に建物の関係を表現してみることによって、事前に問題のある部分がないかを確認していく。
そうした目的で図面は作図される、という話をまずは知っておきましょう。