建物を造っていく段階では、図面というツールはなくてはならない存在である、というような話を前回は取り上げてみました。
実際に建物を造ってしまう前の段階で、紙あるいはデータ上で試しに建物を造ってみる、という目的で図面は活用されます。
図面という仮想空間上で造られる現物が現実と全く同じになるかというと、なかなか完全に同じとはいかないものではありますが…
それでも現実にかなり近いレベルには到達するので、実際にどうなるかをシミュレーションする為に色々な図面を作図していきます。
人の手で施工されるのが現実としてある訳ですから、実際の建物が図面の通りにはなかなかいかない部分もあります。
とは言っても、図面上できちんと納まっていなかったり、致命的な問題点があったりした場合には、間違いなく実際の建物も上手くいきません。
なので、まずは図面の中できちんと納まっていることを確認して、それが実際の施工でも問題ないかという検証をしていくことになります。
そうしたシミュレーションという役割の他に、そもそもの役割として、建物の最終形をどのような形にするのかを伝達する道具としても使われます。
と、かなり簡単な説明ではありましたが、建物を建てていく為の道具として図面がどれくらい重要なものなのか、何となく伝わったでしょうか。
建物が建てられていく段階では様々な種類の図面が作成されることになりますが、こうして作成される図面は非常に多種多様で目的も様々です。
このカテゴリではそうした図面にフォーカスして、具体的な図面の種類とか作成する目的などについて説明をしていきたいと考えています。
「図面」について説明していく為には、まず図面の種類について知っておく必要があるので、最初に図面にはどんな種類があるのかを考えてみる事にします。
建物を建てる為に必要となってくる図面は何か? という事を考えてみると、すぐに思い浮かべるのは設計者が作成する「設計図」かも知れませんね。
前のカテゴリでも色々と書きましたが、設計図は建物の計画をする上で最も重要な役割を持っている図面ですから、建物の図面=設計図という関係も何となく納得という感じです。
ただ、確かに設計図が建物を建てていく上で基本になってく図面だということは間違いありませんが、設計図だけで建物が出来上がる訳ではありません。
…というのは今までの説明でも書いてきた通りです。
実際には設計図以外にもたくさんの図面が存在しています。
建築関連の納まりについて細かく書いていくことをポリシーにしている当サイトとしては、設計図以外にも色々な図面があります、ということを積極的に伝えていきたいと思います。
図面の世界は結構奥が深いものなんです。
色々な種類の図面と作成されるタイミングなどの話は、建物が完成するまでの手順とある程度リンクしてくることになります。
かなり漠然とした表現になってしまいますが…この工事を進める為にはこんな感じの図面が必要なので、その少し前のタイミングで図面が必要になってくる、というような感じです。
建築関連の仕事で、特に図面に関する仕事をしようと考えている方であれば、そのあたりの細かい話を知っていても損はないはず。
ということで、建築のプロジェクトがどのように進んでいくのか、という簡単な流れとあわせて覚えておくのが良いのではないかと思います。
それぞれの図面がどのような目的で作図されるのか。
そしてその図面が具体的にはどのような形で使用されるのか。
次回からは、各種図面の分担とか使用されるタイミングなどの話について、図面の種類毎に色々と書いていくことにします。