設計図というのは、建物の用途と敷地という条件の中で、実際にどのような建物を建てていくのかという方針を示した図面の事を指します。
前回までの説明にも書きましたが、建物を建てていく際の基本的な指針となる図面ですから、設計図が持っている役割は非常に重要だと言えるでしょう。
そんな設計図にもいくつかの種類があります。
基本的には設計者の担当区分によってそれぞれの設計図がある、ということになるのですが、設計図はだいたい以下のような区分になっています。
・意匠図
・構造図
・電気設備図
・空調設備図
・衛生設備図
こうした図面の種類については以前のカテゴリでも取り上げていますが、ここでもう一度設計図の種類などについて考えてみる事にしましょう。
まずは意匠図から。
□意匠図
設計図の中で意匠図が持っている役割は、建物がどのような形状なのか、どのような平面プランなのか、どのような仕上になっているのかなど。
建物の見た目や性能などに関する内容、つまり建物の基本的な考え方というのは全て意匠図によって表現される事になります。
意匠図には様々な図面がありますが、それらの図面を使って建物のプランや外観や仕上材などの情報を表現して、その情報を施工者に伝達していきます。
細かく考えていくと、建物をどのように造っていくのかという表現は様々な部分で必要になってくるので、意匠図の種類や枚数はかなりのボリュームになる事が多いです。
もちろん意匠図の枚数が多い事と、建物の方針についてきちんと表現していることは完全にイコールではありませんが…
それでもやはり表現する為の図面が多いと言うことは、ある程度細かい部分まで建物について表現することが可能という事になります。
枚数が増えれば増えるほど建物についての情報が増えていく事になり、その分だけそれぞれの情報を整合させる事が難しくなってくる。
設計図をまとめていく側の立場から考えると、そうした問題がない訳ではないのですが、それでも意匠図はある程度の枚数になります。
この後紹介する予定の構造図や設備設計図などの設計図は、全てこの意匠図を基本にして設計されることになります。
どのような建物になるのかという情報があってはじめて、その構造や設備をどのように計画するのか、という話に進んでいく訳です。
そう言った色々なことを考えていくと、意匠図という図面はまさに建物のベースとなる図面だという事が言えるでしょう。
基本がしっかりしていないと細かい部分をいくら整えても意味がないので、まずはこの意匠図の情報をきちんと整備していく事が重要になってきます。
意匠図が実際にはどのような図面で構成されているか。
これを具体的に挙げていくと、もちろん建物の規模や種類によって多少は違いますが、大抵の場合は以下のような構成になります。
・特記仕様書
・求積図
・外部仕上表
・内部仕上表
・配置図
・各階平面図
・立面図
・断面図
・矩計図
・平面詳細図
・各室詳細図
・建具キープラン
・建具表
・建具詳細図
・部分詳細図
・外構図
どのような建物の用途なのかによって、設計図に盛り込まれる図面の種類は少しずつ変わってきますが、基本的には上記の図面はほぼ間違いなく入ります。
どんな建物であっても平面プランは必ず使うことになりますし、立面図や断面図なども建物の用途に関わらず必要になってきます。
それ以外の、例えば病院であれば病室詳細図や手術室詳細図などが必要になってきて、そうした個別の詳細図は建物によって少しずつ変わってくることになります。
ただ、そうした詳細図というのはあくまでも上記の設計図にプラスして必要になるものですから、意匠図の内訳としては上記を覚えておけば問題はないはずです。