ゼネコンという企業に対して「サブコン」と呼ばれる企業があって、サブコンが建物を造っていく施工段階でどのような役割を持っているのか。
というあたりの話を前回は考えてみました。
サブコンというのは専門的な工事を受注する企業の事を指していて、通常は設備関連の工事を受注する企業を指してサブコンと呼びます。
建築関連の工事についてはなぜかサブコンと呼ばない傾向にあるので、もし説明する為の時間が少し空いたらそのあたりについて調べてみようかと思いますが…
そのあたりの話はさておき、当サイトでは設備工事を受注する企業をさしてサブコンと呼ぶことにしようと考えています。
ゼネコンが各設備を含めた工事を一式請け負い、まずは大きく「電気工事」「空調工事」「衛生工事」という区分でサブコンに工事を発注する。
発注されたサブコンは、請け負った設備に関わる工事と図面、納まり検討などを、建築側と調整しながら進めていく。
このような流れで建物の施工は進んでいく事になります。
ひとつの建物を建てるプロジェクトにおいては、こうした基本的な流れが施工者側の組織として一般的なスタイルとなっています。
場合によってはゼネコンには建築工事だけが発注され、それぞれの設備工事は施主から別途工事として発注される場合もあります。
そうして分離発注をかけることによって、ゼネコンがサブコンに設備工事を発注した場合に発生するであろう経費を抑えることが出来ます。
こうした「別途工事」とか「コストオン」という形式の契約も、プロジェクトによっては採用される場合があります。
このあたりの契約形式は施主によって色々思惑がある訳ですけど、ゼネコンがやるはずだった調整業務を誰がやるのか…
このあたりの話が明確にならないと大変な問題になる場合もあります。
また、建物を施工していく段階では仮設事務所やトイレなど色々と必要なものがあって、ゼネコンが全て段取りしてサブコンや協力業者が利用するというのが一般的になっています。
しかし別途工事という契約形態になると、それぞれ施主から工事を請け負う対等の関係ということになりますから、ゼネコンが全てを段取りする義務はなくなります。
そうなるとそれぞれの企業でそれぞれ仮設事務所を建てなければならない、ということになり、あまり効率が良くない状態になってしまいます。
これではお互いにメリットがないので、ゼネコンが仮設事務所の設置や工事現場内の安全管理などを行い、サブコンがその分の経費を支払うという契約形態もあります。
・ゼネコンが工事一式を受注してサブコンに設備工事を発注する「一式請負」
・ゼネコンとサブコンがそれぞれ工事を受注する「別途工事」
・別途工事だけど仮設などはゼネコンがとりまとめる「コストオン工事」
ゼネコンとサブコンの関係はだいたい上記の3パターンに分類されることになります。
ただ、どのような契約形態になったとしても、その割合は場合によって違いますが、建築工事を請け負っているゼネコンが設備との調整を取り仕切ることに変わりはありません。
サブコンは自分たちが請け負う設備工事についての深い専門知識を持っていますが、ゼネコンのように、設備を含めた工事全体の知識を持っている訳ではない、というのがその理由です。
もちろんサブコンも工事のプロですから、建築関連の知識を全然持っていない、という訳ではないのですが、やはり建築を専門としているゼネコンが持っている知識の方が圧倒的に多いです。
そのあたりを考えると、やはり全体を見ることを仕事としているゼネコンが設備との調整を含めて取りまとめる方が効率的ということになる訳です。