設備関連の設計について「電気」・「空気(空調)」と話を進めてきましたが、今回紹介するのは「水」を取り扱う設備になります。
水というのは人が生活していく上で欠かす事が出来ないものですから、それを取り扱う設備も同様に欠かす事が出来ません。
そうした水廻りの重要な設備である「衛生設備」について今回は説明していくことにします。
建物というのはその用途によって多少の違いはあるとは思いますが、基本的に様々な人がその建物を利用することになります。
その際にはトイレや洗面所など、各所で水やお湯が利用されますことになるはず。
当たり前すぎる話をわざわざ書くのはちょっと変な感じすが、蛇口ををひねれば水が出たりお湯が出るという状態が絶対条件になりますよね。
こうした当たり前の事を実現する為に、衛生設備の設計者は部屋などの条件とあわせて色々な給水配管などの設計をしていきます。
最近はデザインを意識した水栓も数多くあって、特にトイレなど衛生面を気にするような部分では手をかざせばセンサーが反応して水が出るようになっています。
なので「蛇口から水が出るように…」という表現はちょっと古い感じになっていて、少しイメージと違うかも知れません。
建物の中で水を使う主な用途としては、手を洗ったり食器を洗ったり、あるいはお風呂に入るなどの用途が挙げられます。
現在のトイレは水洗になっていますから、用を足した後で水を流していく必要があるので、そこでも水が使われる事になります。
このあたりの話は我々の日常生活でもイメージ出来るかと思いますが、どのような用途で水やお湯を使った場合でも、水やお湯を使ったからにはその水を排水する設備が必要になります。
建物の中で使った水やお湯は、使った分が全部自然に消滅する訳ではありませんから、排水が必要なのは当然の話だと言えるでしょう。
こうした分かりやすい水廻りの他に、火災が発生した際に火を消すという目的で水を出すスプリンクラー設備などもあります。
建物のどこから火災が発生した場合でも、スプリンクラーによる消火範囲として網羅されている必要がありますから、建物全体に消火用の配管が必要になってきます。
我々は水が出る状態を当たり前と考えて生活をしていますけど、この前提を満たす為には建物の設計段階で配管を張り巡らせる計画が必要になってくる訳です。
こうした計画や調整を行うのが衛生設計になります。
空調設計と衛生設計をあわせて「設備設計」と呼ぶこともあり、設備の設計者が空調と衛生の設計を兼務することも多いです。
施工者側も空調と衛生のどちらも出来る企業がほとんどで、プロジェクトによって今回は空調だけとか衛生だけなどの受注になる場合もあります。
衛生設備の納まりについちょっと考えてみると、水やお湯などを扱う訳ですから、基本的には配管をどこかに通して水を使う部分まで持っていく必要があります。
上図のように配管というのはダクトと同様にそれ程見映えが良くないです。
非常に上手く撮っているのでちょっとおしゃれに見えてしまいますが、実際にはもっと見映えが良くない状態になってしまいます。
大抵の場合は保温材を巻く事になり、その保温材の見映えもあまり良くないので、出来るだけ見えないところに通したくなります。
あまり見せたくないというあたりは空調設備と同じですね。
そうした理由がある為、衛生設備の配管は基本的に壁の中や天井裏に隠す事になります。
空調のダクトに比べれば配管のサイズはそれほど大きくないため、天井裏の配管計画は難しくないと考えてしまいがちですが…
もちろん配管は配管で難しい部分があるので、それほど簡単に話が進むわけではありません。
こうした天井内の衛生設備配管についての話は次回にもう少しだけ続くことにします。