建物が竣工引き渡しを迎えたあたりで、施工者は建物の最終形をまとめた図面である「竣工図」をまとめる作業に入ります。
施工者側で図面を編集する役割を担っているのは施工図を作図する方ですから、竣工図もやはり施工図を担当してる方が修正する事になる場合がほとんどです。
施工者が作成する図面は主に施工図になるのですが、施工図はその図面をベースにして建物を造っていくという役割をになっています。
しかし竣工図はその考え方とは全く逆になっていて、既に出来上がっている建物に合わせて図面を修正していくことに。
感覚としては全然正反対なので、いつも施工図を作図している方にとっては、竣工図というのはそこまで意味がある図面だと思えないかも知れません。
最終的な建物の形状は施工図にも表現されていて、それを自分たちでまとめている訳ですから、施工図さえあれば竣工図など必要ないという思いもあるのかも知れません。
とは言え正式な書類として竣工図が存在しない訳にはいきませんので、結構膨大な量の設計図を地道に修正していく事になります。
こうして施工者は建物の竣工引き渡し前後でこうした作業をしていく事になりますが、この時期の施主は恐らく施工者よりも忙しいかも知れません。
建物がようやく竣工して引き渡しが完了したあとは、それぞれの建物の用途に沿ったかたちで運用を開始していくことになります。
その建物が病院であれば病院のオープン、学校であれば新学期の開始など、建物のオープンに向けて様々な準備をしていく訳です。
設計者も施工者も建物を引き渡した段階で役目がほぼ終わりになりますけれど、あとは施工者側として竣工後の対応が少し残っている感じです。
そうした対応などの為に、建物が竣工した後でも少しのメンバーが残って、施主からの要望に応える為に動いている場合が多いです。
実際に建物を使ってみたら「やっぱりこうしておいて欲しかった」というような細かい要望が、特に鍵の使い方とかスイッチの位置などの細かい部分で出てくるものです。
そうした後からの要望が出ないようにという目的で図面は存在しているのですが、そうはいっても実際に使ってみないと分からないことが多いのも事実です。
スイッチの位置など建物の使い勝手的なレイアウトというのは、工事が進められていく中で「総合図」というかたちで打合せが進められていくことになります。
手戻りがないようにという目的があるので、図面で最終確認をとった後で工事を進めることになるのですけど…
やはり実際に使ってみないと実感できない部分というのはどうしても出てくるものです。
そうした竣工後の要望については、簡単なものであれば対応しますし、対応が大変であっても使い勝手に致命的な部分であれば手直しをすることになります。
というような微調整をしていく中で、建物の運用も少しずつ軌道に乗っていきます。
あとは建物を運用していく中で、部屋の仕様用途を変える事による変更が出たりします。
倉庫を事務室に変更することになりエアコンが必要になったとか、照明をもう少し多くしたいとか、間仕切を移動したいなどの変更ですが…
こうした大きい話は新築工事での対応ではなく、その後の改修工事での対応になっていきます。
建物の単価は通常買い物するよりもはるかに高額ですから、施主に対するアフターサービスも出来る限りの事をやるように動く訳です。
特に建物は出来上がっているものを見て購入する訳ではなく、お金を支払う事を決めた後で出来上がるものですから、出来るだけ要望に応えようと考えるのは当然でしょう。