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ゼネコンが管理しているもの

建物を建てていくという施工段階の中で、施工全般を請け負っているゼネコンが具体的にどのような役割を担っているのか。
前回はそのあたりの話を取り上げてみました。

ゼネコンが担う具体的な業務を見ていく中で、単純に工事を細分化して専門業者に工事を発注するだけの業務では済まない、という結構当たり前の結論に至りました。
建物全体の施工を請け負うという事はやはりそう単純な事ではないんですよね。

ゼネコンが施工段階で管理していく必要があるのは、こうした工事の発注や様々な工事の取り合い調整だけではありません。
という事で、今回はゼネコンが管理していく様々な項目について考えてみる事にしましょう。

建物を造っていく段階では様々な工事があって、例えば重量のあるものを移動させる為にクレーンなどの重機が入ったりします。
また、資材を目的のフロアまで運んでいく為に、あえて部分的に床コンクリートを打設しないでおき、その開口から資材を搬入する計画を立てたりもします。

重機

そもそも鉄骨工事の時には床そのものがない状態ですから、移動の為には鉄骨の上を歩くしかない状況になっています。
ここで何が言いたいのかというと、建物を施工している段階では高いところから落下したり、重量のあるものが落下してきたりと、危険な状態になりがちなんです。

よく工事現場では「安全第一」と書かれた旗やポスターなどが貼ってあったりしますが、安全を第一に考えないと危ない、というくらいに現場は危険な場所なんです。
そうした危険な工事現場だからこそ、実際に作業している方が怪我をしないように気を配り、時には危険な事をしている人に厳しく注意したりする必要があります。

こうした安全管理もゼネコンの大きな仕事のひとつだと言えるでしょう。

また、工事現場で発生する廃棄物を適切に処理するのもゼネコンの仕事です。
廃棄物を処理するにもコストはかかりますから、出来るだけ廃棄物が少なくなる、つまりコストを抑えていく事を計画するのもゼネコンの仕事。
…という感じで色々と書きましたが、ゼネコンが受け持つ業務はかなり多岐にわたるものなんです。

建物を建てるプロジェクトが設計段階から施工段階に入った際に、設計者と施工者がどのような役割を果たしていくのか、というような事を今まで書いてきました。
もちろん設計者の役割は非常に重要なポイントになってきますが、やはり施工段階では施工者であるゼネコンが果たす役割がかなり大きくなってきます。

ゼネコンが建物を施工していく段階で、自分たちが管理していくべき項目を表した言葉として「QCDSE」というものがあります。
管理していく項目の頭文字を並べただけで、分かりやすい言葉になっている訳ではありませんが…項目としては結構分かりやすくはなっていると思います。

 : uality (品質)

 : ost (コスト、費用)

 : elivery (工期)

 : afety (安全)

 : nvironment (環境)

高い品質でなおかつ地球にも配慮した建物を、工期を遅らせることも事故を起こすこともなく造っていき、無駄な工事をしない事によって利益を出す。
簡単に言うとそうなりますが、もちろん上記の条件を全て満たしながら建物を造っていくのは、並大抵の事ではありません。

こうした建物を造ることがゼネコンの目標であり、その為にゼネコンは優れた人材と蓄えてきた経験や知識を総動員して業務にあたっているんです。
建築業界の基本的な流れである元請けと下請けというスタイルや、相見積もりによる業者選定のやり方だけを見てしまうと、元請けは楽をしているとか思ってしまうかも知れませんが…

もちろんそのような単純な話のはずはありません。

実際の施工は別の企業に依頼するけれど、その品質や工程に対する責任はゼネコンが負うことになる訳ですが、これは非常にプレッシャーが大きく大変な立場だとも言えます。
こうした大変な業務を、建物を建てようとしている施主側の企業や個人が出来るかと言うと、やなり非常に難しいのではないかと思います。

だからこそ施主は施工をゼネコンに発注して、それぞれの専門工事や工程などの管理を任せるという現在のスタイルが浸透している訳です。

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