前回は外壁にタイルを採用する場合の基本的な納まりがどのような感じになるのか、というあたりについて考えてみました。
壁下地が鉄筋コンクリートなのかそれともECPなのかによって、納まりの考え方は結構変わってくることになる、ということがなんとなく掴めてきます。
外壁にタイルを採用する場合には、採用するタイルの色やサイズなどによって、その建物の雰囲気が決まってしまう事になります。
この重要なタイルの品番決定は意匠設計者の業務になる訳ですが、この決定はかなり重たいものになってくるので、パースなどで確認を取りながら最終決定していく事になるはずです。
建物の外壁にタイルを貼る場合の納まりについてはこんなところになるので、今回は引き続きタイルの納まり紹介という事で、内壁にタイルを採用する場合の納まりを考えてみましょう。
内壁にタイルを採用する場合、タイルを選択した理由は基本的に「見た目が良い」という事になる場合が多いはずです。
もしくは、浴室など水をたくさん使用する場合の壁としてタイルが採用される場合もありますが、そうした水廻り以外で採用される壁タイルは皆意匠的な理由になってきます。
タイルのグレード感については商品によって多少のばらつきがありますが、石よりは少し低いけれど塗装よりは高いという感じになると思います。
浴室など水廻りの壁でタイルを選定する場合には、壁下地は基本的に鉄筋コンクリート壁になる場合が多いです。
これは水廻りの部屋に防水を施工する場合が多いことから来ていて、アスファルト防水の下地として鉄筋コンクリートの壁が必要なのでそのような納まりになっています。
アスファルト防水は天井まで立ち上げるのではなく、基本的には水がかかる部分までになるので、そのレベルで鉄筋コンクリート壁に欠き込みを入れておく事になります。
欠き込みを設けることによって出来る入り隅でアスファルト防水を止めて、その上にモルタルを塗っていきタイルを貼っていく、という納まりです。
アスファルト防水+モルタル下地の部分と、単純な鉄筋コンクリート壁下地の部分では、下地が違う関係でどうしても表面の動きが違ってしまいます。
そこで、タイルの目地をアスファルト防水用の欠き込み位置に合わせて入れておき、その部分についてはシール目地で納める場合が多いです。
浴室などでこうした納まりの検討をする場合は、洗い場の天板レベルとか隔て板の天端レベルなど、タイル目地の位置を決める要素が色々あるのでしっかりとした検討が必要です。
そこで決めたタイルレベルによって、逆にアスファルト防水の欠き込みレベルが決まってくることになる、という順番なので注意が必要です。
こうした検討を後回しにしてしまうと、あまり調整が出来ないけれどタイルの納まりは決めないといけない、みたいな残念な状況になってしまいます。
こうした状況は結構経験していますが、これは検討していてかなり空しいものがあり、どうせなら最初にやっておけば良かったと思ってしまうはず。
そうした寂しい状況にならないように、出来るだけ早めに検討を開始しておく、という事が非常に重要になってきます。
これはいつも手遅れになってから「やっておけば良かった」ってなるパターンが多いので、自分に言い聞かせる意味でもしつこく書いています。
内壁としてタイルを採用する場合の納まりとして、まずは浴室などの水廻りでの納まりについて考えてみましたが、結構色々と複雑に絡んできていますよね。
こうした複雑な部分の検討をするのは施工者の役割になりますが、これはかなり楽しい業務でもあるので、必要な知識を揃えてぜひ挑戦してみてください。