鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物でも、小梁だけは鉄骨梁になっている場合もあって、その際の納まりがどうなるかについて前回は説明をしてみました。
鉄骨小梁は基本的にピン接合になりますから、SRC梁に対してどのような位置関係で小梁の端部になるにしても、ガセットプレートを出しておくという基本納まりに大きな違いはありません。
このあたりの納まりは色々な考え方がありますが、基本的な納まりと考え方を知っておけばあとはそれぞれの場面によってそれを少しずつ応用させていけば対応が可能です。
その為にはやはり基本的な納まりをきちんと押さえておく必要がありますが、基本がしっかりしているからこそ応用が出来る訳で…
このあたりの考え方というのは、どのような仕事でも同じではないかと思います。
建物でも同じ話が言えると思いますが、結局は高いレベルを目指す為には基礎がしっかりしていないと難しくなってしまう、という事は間違いありません。
基礎を地道に覚えるのは大変で面倒ではありますが、面倒だから全ての方がしっかりと覚える訳ではないので、時間をかけて丁寧に覚える価値はあるのはないかと思います。
さて、こうしたSRC造の基本的な鉄筋などの納まりについての話は、ちょっと長くなってしまいましたが、そろそろ終わりにします。
基本的な話は大体終わったはずなので、今回からは少し別の話と言うことで、鉄骨を鉄筋コンクリートで巻くことによるメリットについて考えてみることにします。
鉄骨鉄筋コンクリート造というからには当たり前の話ですが、鉄骨柱や鉄骨梁の外側には鉄筋コンクリートが配置されることになります。
こうして鉄骨と鉄筋コンクリートが絡んでくるからこそ、鉄骨に鉄筋用の孔をあけておいたり、型枠を固定する為のセパレータ用の孔をあけておく検討が必要になってくる訳です。
鉄骨に鉄筋コンクリートを巻くためには、そのあたりの検討がどうしても必要になってきて、その検討に手間が掛かるというのがSRC造の難しさの要因になってくるのですが…
鉄骨という構造体の外側に鉄筋コンクリートが存在する、というSRC造の特徴が納まり上のメリットになる場合も当然あるんです。
構造的なメリットは確かにSRC造では大きいのですが、納まり的なメリットもあるというのは、納まりを検討する側の方であればちょっと嬉しいですよね。
と言うことで、ここではSRC造の場合納まりでどのようなメリットがあるのか、という部分について考えてみる事にします。
まずは耐火の考え方から。
鉄骨造の欠点として以前紹介しましたが、鉄骨が熱に弱いという特徴を持っているため、構造体には必ず耐火処理を施す必要があります。
しかしSRC造の場合は外周にコンクリートが巻かれているので、鉄骨造で必要だった耐火処理はやらなくても大丈夫という事になります。
これはかなり微妙というか何というか「それだけ?」と思ってしまうメリットだとは思いますが、SRC造として柱や梁をコンクリートで巻いているからこそのメリットです。
次に鉄骨ピース関連でもうひとつ。
鉄骨造の建物を検討していく際には、鉄骨に現場で外壁とかアルミ建具などを取り付けたい場合、色々なピースをあらかじめ取り付けておく必要があります。
なぜピースが必要になるのかというと、構造体である鉄骨に現場で直接溶接するのは構造的にNGというう理由があるから。
現場では取り付けたピースに対して溶接固定していく状態になるように、事前に様々なピースを検討しておく必要があります。
しかし鉄骨鉄筋コンクリート造の場合には、構造体の外周がコンクリートになっている訳ですから、コンクリートに対して現場で固定していくこと可能になります。
そもそも鉄骨にピースを色々と取り付けたとしても、余程大きいピースにしない限りはコンクリートの中に埋まってしまいますが…
やはりコンクリートに対して色々なものを固定することが出来るというのは、納まりを検討していく中ではかなり有利ではないかと思います。