あらかじめ作図された図面を修正する作業であれば、以前の話で紹介したように、CADが用意している機能をある程度知っておけば対応することが出来ます。
しかし何もないゼロの状態から図面を描き始めて、その図面を完成までもっていく為には、そうした基本的な知識やスキルだけではちょっと足りない場合もあるはず。
既に作図された要素を移動したりするのは比較的簡単なのですが、何もない状態から図形を柱や壁を造っていくには、CADの様々な機能を駆使する必要があるんです。
という事で、ここでは最初から図面を作図していき最後まで図面を完成させていく為に、どのようなスキルが必要になってくるのか、というあたりを考えてみたいと思います。
上記はAutoCAD(オートキャド)を起動して新規の図面を作図しようとした状態で、当たり前の話ではありますが、画面上には何も図形がありません。
意図しない図形が作図されていても意味がなく、単純に邪魔な要素を消す手間が増えてしまうだけという事になるので、何もない状態からスタートで問題はありません。
この状態から少しずつ線や円を作図していき、線や円や文字の組み合わせによって意味のある図形を構築していく事になります。
上図のような線や円は、それだけだと特に意味を持った図形にはなりません。
しかし下図のように線と円を組み合わせると、壁とドアという事が分かり、さらに文字情報を追加する事によってその情報を深めていく事が出来ます。
これが図面の面白いところで、単純な図形の組み合わせを膨大にする事で、巨大な建物の全貌を表現していく事が可能になるんです。
既に作図されたドアを少し移動する操作と、何もないところから壁とドアを作成していく操作とでは、当たり前の話ではありますが、後者の方が手間が多いと言えるでしょう。
では、どうして何もないところから壁やドアを作図していく作業が手間なのかを考えてみると…
作図をする為に覚える機能はそれほど多くはならないのですが、様々な設定を細かく調整していかなければならない、という事が挙げられると思います。
具体的にはどのような設定なのかというと、思いつくだけでも以下のような項目が挙げられます。
・図面の縮尺をいくつにするか
・文字の大きさ
・フォントの設定
・寸法線の表現方法
・線種の設定と尺度の設定
・画層の設定
・色の設定
・ファイル名の設定
・図面枠の設定
これはAutoCAD(オートキャド)の設定で、AutoCAD(オートキャド)は比較的設定項目が多いCADではありますが…
仮にこれが違うCADであっても、文字のサイズや図面の縮尺などの設定をしないで作図するのは難しいのではないかと思います。
なんだか設定ばかりでイヤになってしまいますが、本当に何もないところから作図を開始する際には、上記のような項目について細かく設定をしていく必要があります。
言うまでもありませんが、こうした設定を決めていくのは結構時間がかかるものなので、壁の線を引くまでには相当な時間がかかってしまう事に。
もちろんそれぞれの設定項目に慣れてしまえば、実際にはそれ程難しい設定というのはありません。
また、一度設定をきちんと決めたデータを用意しておけば、毎回同じような設定をしなくても済むことになる、というやり方もあります。
なので、ある程度CADの経験を積んでしまえば、それほど大変な事はないのですが…
CADに慣れていない最初の頃であれば、あまり詳しいやり方を知らない事もあって、操作に結構困ってしまう訳です。
何もない状態から図面を作図していく為には、単純に線を引いたり円を描いたり文字を記入したりする操作にプラスして、様々な設定を適切に決めていく知識がどうしても必要になってくる。
これが作図された図面を修正する業務と比べると非常に大きな違いだと言えるでしょう。