ゼネコンが建物の施工を一式請け負った際には、自社で工事をするのではなく、それぞれの専門企業に工事を発注することになります。
そうであれば、わざわざゼネコンにまずは施工一式を発注する必要があるものなのか、というあたりの話を前回は考えてみました。
確かに工事はそれぞれの専門企業が受け持つことになるのですが、それぞれの工事同士を調整していく業務はかなりの仕事量があるもの。
それを建築のプロ以外の企業がやるのは非常に難しいので、それらを含めてゼネコンに任せる方が効率的である、というのがその理由でした。
それぞれの工事を分割して発注すればOKという訳ではないんです。
また、建物の規模に関わらず、建物に必要な工事をピックアップしてそれぞれの工事ごとに分類していくという作業も、専門の知識がなければ難しい。
そうした色々を考えた時に、やはりゼネコンというのは絶対に必要な存在になってくる訳です。
ゼネコンがただ単に工事一式を受注した後、その工事を細分化して下請けの企業に発注して終わり、というような業務であれば楽なのですが…
そのような楽な仕事であれば、恐らくゼネコン自体の存在意義は全然ないですよね。
もしそうであればゼネコンが企業として存続していくのは難しくなってくるはず。
しかし実際に世の中には非常にたくさんのゼネコンがある、というあたりを考えてみると、やはり建物を造っていくという業務にゼネコンが必要とされているのでしょう。
ゼネコンが受け持つ事になる業務はたくさんあって、それぞれの工事を円滑に進める事を目的として色々とやるべきことが山積みという感じです。
「やることが山積み」では全然分かりにくいので、まずはゼネコンが建物を施工していくにあたり、重点的に管理していくべき項目について紹介してみます。
・建物の品質を管理(Quality)
・請負金額の中で工事が完了するようなコスト管理(Cost)
・竣工予定日を守る為の工事工程管理(Delivery)
・工事現場内の安全管理(Safety)
・環境に配慮した工事(Environment)
ゼネコンが施工一式を施主から請け負った際、主に管理していく事になる業務が上記のような項目になっています。
以前のカテゴリでも紹介したかと思いますが、「QCDSE」という管理項目になります。
まずは高い品質の建物を造ることを意識して、その際に出来るだけコストを掛けない事を考え、決められた工期の中でその工事を完了させる。
さらには工事中にけが人が出ないように現場の管理を進めていき、地球環境に配慮して無駄な廃棄物が出ないような計画を考える。
…という考え方で建物を造っていくのがゼネコンなんです。
各専門企業に工事を発注する前には、複数の企業に同じ条件で見積を出してもらうという相見積をかける事になりますが…
なぜそのような手間を掛けるのかというと、価格競争をしてもらう事によって出来るだけコストを圧縮する、ということを意識しているからです。
後は建物の品質を確保する為に、特に水廻りの納まりをしっかりと管理していくことや、各所の納まりを事前に検討していく事など。
また、工程を遵守する為には、適切な時期に必要な工事を完了させていく必要があって、それらの工程管理もゼネコンの業務になります。
このように、ゼネコンがやるべき業務は多岐に渡ります。
工事が予定通りに進んでいるかを現場で確認していくと共に、危険な作業を現場でやっていないかを厳しく管理していくのもゼネコンの業務。
現場内にゴミが散乱しているような状況になってしまわないように、現場を綺麗に保って必要以上の語気を出さないように計画していくのもゼネコンの業務。
後は先ほども紹介した、それぞれの工事同士の取り合い調整も必要で、という感じでゼネコンに所属する方の仕事は非常に大変な量があるものなんです。