建物を実際に造っていく工事全般を、施主から施工者が請け負うことによって建物の施工が始まる、という話を前回は紹介しました。
建物の価格は決して安くはなく、その契約のかたちは建物によって違ってくるものですから、ここで「通常はこうなります」というのも少し気が引けますが…
ただ、少なくとも施工者が建物の施工を受注するところまでは皆同じなので、細かい契約についての違いなどについて当サイトではあまり気にしないでおく事にします。
どのような契約であっても、施工者が建物を実際に造っていくこと自体に違いはないので…
このカテゴリでは、建物を実際に施工していく中で施工者がどのような役割を果たすのか、という事を考えていく事をテーマにしています。
なので、ここでは建物の施工一式を受注した施工者がその後どんな動きをしていくか、という事について考えてみることにしましょう。
施工者がやるべきことは非常にたくさんあるのですが、まず手を付けていくのが、たくさんある工事をそれぞれの工事に分類していくこと。
建物を造るという仕事の中には非常にたくさんの工事が含まれていて、その工事を抜かしてしまうと建物は成り立たないというくらい重要なものも多々あります。
まずは非常にざっくりとした区分をすると、建物を構成する要素というのは以下のような項目に分類することが出来ます。
・建物の骨組みを構成する「構造」
・壁や天井や建具などで構成される「意匠」
・建物の中に組み込まれる各種「設備」
構造と意匠と各種設備という項目については、設計者の業務について考えた際にも似たような、というか全く同じ分類がありました。
ある程度細かい話もしていますので、上記の分類がいまひとつピンと来ないようであれば、一度設計の業務についても読んでみて頂ければと思います。
設計者の分類で考えると、構造については構造設計が検討していく事になり、意匠については意匠設計が検討していく、という感じになります。
設計者はそれぞれの得意分野というか、自分が専門とする分野について分担して細かく設計を進めることになる訳です。
これが施工段階ではどうなるかと言うと、建物の施工を一式請け負う訳ですから、施工者がこれら全ての工事を進めていく事になります。
建物を施工する事の中には様々な工事が含まれていて、そこには構造も意匠も設備も含まれているので、その全てを施工するのは当然でしょう。
とは言っても、これは設計者の場合も結局は同じで、建物設計を一式請け負うという事はつまり、構造も意匠も設備の設計を全て請け負うという事。
そうして請け負った全ての分野の設計を、それぞれの専門に特化した設計者が担当していく、という流れになっていくんです。
施工者の場合もそれと似たような話になっています。
施工を一式請け負った後でそれぞれの工事に細かく分類していき、それぞれの工事を専門とする企業に施工を依頼していく事で施工を進めていく事になる訳です。
その大きな分類が「構造」と「意匠」と「設備」という事になるんです。
とは言っても、施工は設計に比べるとさらに細分化されていて、構造的な工事の中には鉄骨やコンクリートや鉄筋や型枠などが含まれる事に。
意匠的な工事も同様で、建具工事があったりＬＧＳや石膏ボードなどがあったり、あるいは石工事やタイル工事などがあったりと、非常に多彩になります。
各種設備については、電気設備と空調設備と衛生設備という区分があって、これは設計者の分類と同じような感覚になるかと思います。
こうした様々に細分化された工事を取りまとめるのがゼネコンの役割になっています。
