建物を建てる工事を一式、もしくは設備工事以外の工事を施主から請け負うのは大抵の場合「ゼネコン」と呼ばれる企業になります。
建物を造っていく施工について考える時に、ゼネコンの存在を忘れる訳にはいかないので、今回はゼネコンについて色々と考えてみる事にしましょう。
ゼネコンの規模は大小様々ですが、それはどんな分野の企業でも同じで、規模の大きな企業がある一方で、そこまで規模が大きくない企業も存在します。
特に大きな規模のゼネコン5社を「スーパーゼネコン」と呼び、スーパーと付けるだけあってゼネコンの中では特別な存在になっています。
企業の規模が大きいとか小さいとかにはそれほど意味などない、と思う方もいるかも知れませんが、実際は結構大きな意味を持っているものなんです。
建物を造っていくというプロジェクトはその規模によって色々ありますが、プロジェクトを完了させるまでに必要な金額はかなりのものがあります。
施工を担当するゼネコンの規模によっては、そこまで大きな請負金の工事は消化出来ない、というような場合もあります。
そう言った意味では、ゼネコンの規模というのは建てようとしている建物にとって全然関係ない話、という訳でもないんです。
請負金額100億円を超えるようなプロジェクトであれば、規模の小さいゼネコン1社で施工を請け負う事など出来ない、という場合もありますから。
やはり余力を持っている大企業の方が、巨大なプロジェクトを請け負う力と資金を持っている、という事なのだと思います。
ニュースに出るような巨大なプロジェクトの場合には、施工も1社で請け負うのではなく、複数の企業で分担して施工を請け負う「JV=ジョイントベンチャー」という形を取る場合も。
それぞれの企業でパーセンテージを決めて工事を請け負うことによって、建物の規模が大きすぎるという問題が解消していくことになります。
ゼネコンがどのような意味合いを持っているのか、という話は以前書いた気がしますが、ここでもう一度ゼネコンの意味を書いてみると、こんな感じになります。
・General : 全般的な・全体的な
・Contractor : 契約者・請負人
全体を請け負う企業という意味合いがこれで何となく掴めてくるかと思います。
もう少し具体的な表現をすると、建物を建てる工事を一式請け負って、工事の種類を色々な分野に分類してそれぞれの工事を専門に行う企業に発注する。
というのがゼネコンの役割ということになります。
例えば建物全体の工事を請け負った後で、鉄骨工事と鉄筋工事・型枠工事などに工事を分けていき、鉄骨の専門企業に鉄骨工事を発注する。
他の部分、例えば鉄筋工事であれば、鉄筋の専門企業に鉄筋工事を発注する、型枠工事は型枠工事で…というようなことを全ての工事項目でやっていく訳です。
もちろんコストの事を考えて、複数の企業から見積もりをとる「相見積もり」を取って、出来るだけコストを抑えた発注ができるようにしていくことも考えていきます。
何社かから見積もりをとる事によって数値の信頼性を高め、なおかつ競争原理によって価格を少しでも下げたいという狙いがそこにはあります。
こうした表現をすると、ゼネコンは建築工事一式を請け負うけれど自分では何も工事はやらず、下請けに価格競争をさせて工事を丸投げ、みたいなイメージを持つかも知れません。
…が、もちろんそんなことは全然ありません。
このあたりの話については次回に改めて説明する事にして、今回はまずゼネコンが持っている役割などについて覚えておきましょう。