前回までの話では、電気設備が色々な種類に分かれている事や、電気設計の業務などについて色々と説明をしてきました。
引き続き他の種類の設計について説明をしていこうと考えていますが、今回は空調設計について取り上げてみることにします。
空調設備。省略しないで書くと空気調和設備。
こうした名前を見ればピンとくると思いますが、建物内部の空気や温度、湿度などを快適に保つ為の設備を空調設備と呼びます。
空調設備が整っていないと部屋の環境が悪すぎるので人が滞在出来ない、と言っても過言ではなくくらい建物にとっては重要な設備です。
こうした空調設備の計画や検討を進めるのが空調設計という事になります。
空調設備でもっとも身近なものと言えば、これはもうおなじみの設備だと思いますが、まずは室内の温度をコントロールするエアコンが最初に挙げられると思います。
最近の夏は気温が非常に高くなる傾向にあって、たとえ夜になったとしてもそれほど大きく気温は下がらない状態が続いたりします。
こうした環境の中でエアコンをつけないで我慢していく、というのはちょっと現実的ではないレベルになりつつあります。
暑すぎる状況で我慢を続けると、体調を崩すどころか熱中症によって命の危険に晒される場合もありますから、空調設備によって体調が崩れるのを避けることが重要になってきます。
エアコンがないと人命に関わってしまう、というような状況は昔から考えると普通ではないような気がしてしまいますが…
これはもう現実にあわせて対応を考えていくしかありません。
逆に冬の寒い時期には暖房が必要になったりもします。
空調機からは温かい空気と冷たい空気のどちらも出てくるので、空調機を設置しておけば夏でも冬でも問題なく対応していく事が出来ます。
年間を通じて建物内に滞在している人が快適に過ごせるように、という目的で空調設備はなくてはならない存在だと言えるでしょう。
人がたくさん集まる場所であれば、常に新鮮な外気を室内の空気と定期的に入れ替えていくという換気設備の検討が必要になってきます。
換気設備がきちんと計画されていないと、室内に滞在する人が排出する二酸化炭素の濃度が上がっていくことになり、とてもではありませんが仕事が出来る環境とは言い難くなってしまいます。
また、火事が発生した際に最も注意すべきなのは煙ですが、非常時に大量発生する煙を建物の外に排出し、できる限り避難しやすい状況をつくることも計画しておく必要があります。
こうした排煙設備というのは普段あまり意識されることのない存在なのですが、非常時に人命を救うために欠かすことが出来ない設備だと言えます。
建物内に水やお湯などを通すのは「配管」と呼ばれる円形の筒になりますが、同じような考え方で建物内に空気を通していく為には「ダクト」と呼ばれる筒が必要になります。
ダクトを通して室内に空気を供給する場合もありますし、室内の空気や煙を建物外に排出する際にダクトを利用する場合もあります。
配管とダクトの最大の違いはそのサイズで、配管は大口径であっても300φ程度ですが、ダクトの場合は2000×800など巨大なサイズが必要になってきます。
配管に比べるとダクトは大きなサイズになる訳ですが、それで何が困るのかというと、天井裏のレイアウトが大変になるんです。
大サイズのダクトを建物の中にレイアウトしていく為には、天井裏のスペースをあらかじめ計画しておく必要があるのですが…
これがなかなか大変というか手強いというか、まあ難しいものがあります。
このあたりを踏まえて空調設計で検討をしていく事になりますが、天井裏の納まりについての話は次回にもう少し詳しく話をしていきたいと思います。