建物が計画されてから実際に完成するまでの大まかな流れについて説明してみる、というような話を前回はしましたので、今回はその続きから。
まずは建物が出来上がるまでにどのような流れで仕事が進んでいくのか、というあたりの話を大まかに考えてみる事にしましょう。
建築に関わる仕事に就いていない方の感覚では、建物は何となくいつの間にかに工事が始まって、いつの間にかに終わっている、みたいな感じではないかと思います。
何となく「更地があるな」と思っていたら、いつの間にかそこに竹と祭壇みたいなものが用意されていて、何か建物を建てようとしている事を知る、という感じですよね。
祭壇などがあるのは地鎮祭(じちんさい)と呼ばれる儀式のためで、工事を開始する前に、建物を建てようとしている土地の神様にその許しを得る為に地鎮祭は行われます。
工事を開始する前の儀式ですから、地鎮祭が完了した後は色々な工事が始まることになり、しばらくは周囲がうるさくなる、みたいなイメージではないでしょうか。
建築に限らずどのような種類の仕事でも同じなのかも知れませんが、目立たないところで具体的にどのような仕事が進行しているかというのは、外部からはあまり分からないものですよね。
実際に工事を開始する事を「着工」と呼び、地鎮祭の後で正式に工事を開始することになるのですが、実際には地鎮祭の前にもたくさんの業務があるんです。
工事にとりかかるまではあまり目に見える形にはなっていませんが、その建物に関連する仕事はそれこそ山のようにあります。
建物の計画段階になるのであまり表には出てこないような業務は、コンピュータを利用して作成する「図面」という複雑きわまりない道具を使いながら、着実に進められているものなんです。
そして建物の計画が煮詰まった段階で、実際に建物を造っていく工事に着手していく、というような流れになっています。
…というのは時間的な部分を無視した表現で、ちょっと順番は逆ですね。
実際のプロジェクトでは、工事を開始する着工の日付とか、建物が完成する予定日、さらにはその建物を運用開始する日などが決まっている場合がほとんどです。
そうした日付を考慮して、工事を開始する着工日から逆算した上で、建物の形状などを考える計画を進めていくことになります。
これは考えてみれば当たり前の話で、建物の計画が終わった段階で「設計も大体終わったし、そろそろ工事を始めようかな…」みたいな計画性のないやり方で進める訳にはいきません。
建物を建てる工事にはたくさんの企業や人が関わってくることになり、人の手配などの下準備も当然必要になってくるので計画的に進める必要があるんです。
これらの事を考えると、実際には建物の工事が始まった段階では、どのような建物を造っていけば良いのかの基本方針はある程度決まっている事になります。
そうした基本方針をベースにして実際に建物を造っていく段階に進み、竣工予定日までに建物を完成させる、という感じで計画は流れていきます。
実際に施工を進めていく段階では、具体的な寸法や納まりの調整をしていくとか、施主の要望を具体的に確認していくなどの作業を進めていきます。
具体的な内容を決めた情報を元にして実際に建物を造っていく訳です。
実際に建物を施工する段階でやるべき事はたくさんあって、それこそ「膨大」という言葉で表現出来ているか心配になるくらいなのですが…
そのあたりの具体的な話は今後追々やっていくことにして、ここではまず大まかな流れについて掴んでおくことにしましょう。
建物を建てるという目的で建物を計画していく段階から、その計画を具体的なものにしていく施工段階までの大まかな流れは大体こんな感じです。
これからはそれぞれの項目についてもう少し詳しく説明していくことにしますが、まずは大きな流れを押さえておき、それから細かい話に進んでいくことにします。