前回は建物の構造として鉄骨造（Ｓ造）の特徴について簡単に説明をしました。
鉄で出来ている建物の構造体を工場でしっかりと製作してきて、現場ではその鉄骨を組み立てればＯＫという考え方が鉄骨造の大きな特徴になります。
現場のスペースには限りがあるので、別の場所で建物を構成する部材を造ってくるというのは、やはり非常に大きなめりっとがあるものだと思います。
こうしたやり方によって建物を造っていくスピードがかなり早くなるので、事前の検討や準備はかなり大変にはなりますが、それを乗り越えていくメリットはやはり大きなものがあります。
今回はそんな鉄骨造の特徴と、以前説明した鉄筋コンクリート造の特徴を踏まえて、鉄骨鉄筋コンクリート造の特徴について考えてみる事にします。
鉄骨鉄筋コンクリート造（ＳＲＣ造）はその名前の通り、先ほど紹介した鉄筋コンクリート造（ＲＣ造）と鉄骨造（Ｓ造）を足したような構造になります。
鉄筋コンクリート造のようにコンクリートと鉄筋で構成されながらも、その芯には鉄骨が入っているというハイブリッド工法です。
ＳＲＣ造のメリットとしては、鉄骨という芯材が入っているから当然と言えば当然ですが、ＲＣ造よりも強度が強く耐震性に優れているという点が挙げられます。
強度が強いという事はつまり、建物として必要な強度を得る為の柱や梁の寸法を小さくすることが出来るというメリットがあります。
プランを検討していく中で、構造体である柱がプラン上の支障になったり、階高を設定して天井高さを決める際に梁が天井から飛び出してしまったり、ということは良くあることです。
そうした検討や調整をしていくと、ＳＲＣ造にすることによって構造体の部材を小さくすることが出来るというのは非常に大きなメリットだということが分かるはず。
ただし、これもまた鉄骨という芯材を入れているのだから当然のことではありますが、通常の鉄筋コンクリート造に比べるとコストが割高になってしまうというデメリットも。
コストがいくらかかっても構わないというようなプロジェクトはありませんから、得られるメリットとコストというデメリットをきちんと検証しながら方針を決めていく必要がある訳です。
また、鉄骨と鉄筋とコンクリートという部材を組み合わせて使うことになる為、それぞれの関係をきちんと検討しておく必要がある、というのもＳＲＣ造の特徴です。
特に鉄筋と鉄骨の関係については、検討をしてみるとよく分かるのですが、鉄骨が鉄筋の邪魔をするよいう状況が発生するので、手間としてはなかなか大変になるんです。
これは設計というよりも施工サイドでの検討ということになりますが…
鉄筋を通す為に鉄骨にあらかじめ穴を開けておくとか、型枠を固定する為のセパレータを通す為の穴を開けておくとか、そういった下準備がたくさん必要になってくるんです。
それを怠ると鉄骨が現場に搬入された後で大変な苦労をすることに。
ＳＲＣ造は工場で製作してきた鉄骨を現場で組み立てて、そのまわりに型枠を作って鉄筋を入れた後でコンクリートを流し込む、という大まかな流れになります。
単純に鉄骨を建てるだけのＳ造や、型枠と鉄筋だけで済むＲＣ造に比べると、現場での施工手間が多くなるという特徴も持っています。
そうした手間やコストなどを考慮してもなおＳＲＣ造が選択される、というプロジェクトは結構たくさんありますから、やはりＳＲＣを選択するメリットというのは大きなものがあるのでしょう。
細かい納まりをきちんと押さえておくには、鉄骨や鉄筋などの細かい知識が必要になってきますが、覚えておいて損はない知識だとも言えます。
細かい話は個別にやっていくことにして、ここではＳＲＣ造の大まかな特徴を掴んでおいて頂ければと思います。
