前回は建物の構造にはどんな種類があるのか、という話を取り上げましたが、種類としてはそれほど多くはないという事が分かったと思います。
結局どんな構造であってもそれほど楽な訳ではない、という話もしましたが…
どの構造にもメリットとデメリットがあるからこそ、それぞれの構造の特徴をつかんでどんな進め方をしていくかを知っておく事が重要になってきます。
仕事で発生するトラブルの大半は、コミュニケーション不足と正しい手順を知らないことからくるので、まずは正しい手順を知る為の知識を増やしておく事を目指しましょう。
という事で、今回は建物の構造のひとつである鉄筋コンクリート造(RC造)の特徴について簡単に取り上げていきたいと思います。
もっと詳しい話はそれぞれのカテゴリを造って説明をしていきますが、まずは概要的な話を押さえておくことにしましょう。
まず、鉄筋コンクリート造がどのような構造なのかという話ですが、これは読んだまま「鉄筋」と「コンクリート」によって建物の骨組みを構成していくという考え方の構造になります。
鉄筋コンクリート造は別名「RC造」とも呼ばれますが、これがどのような意味を持っているのかというと、以下のような言葉の頭をとった呼び方になっています。
Reinforced : 補強された
Concrete : コンクリート
「補強された」というのは鉄筋によってコンクリートの強度を補強しているという意味で、鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造になります。
コンクリートというのはセメントと骨材と水、混和剤で構成されていて、これらの材料を混ぜることにより発生する化学反応によって、時間が経過すると硬化していくという性質を持っています。
それぞれの材料を混ぜた時点では、各種材料が流動的な状態になっていて、時間が経過して硬化して建物の骨組みとしての強度を持つようになる訳です。
「最初は流動的で後から硬化する」というあたりが鉄筋コンクリート造の大きなポイントです。
液状の状態であれば色々な形状の型に流し込むことが出来るので、ある程度自由な形状でコンクリートを造ることが出来る訳です。
最終形を意識した型を合板で作成して、硬化後に型を取り外す事によって様々な形状のコンクリートを形成することが出来るという流れがこれによって可能になります。
ある程度自由な形状のコンクリートを形成することが可能というのは大きなメリットで、このメリットによってデザインの選択肢を拡げることが出来ます。
ただ、コンクリートにこうしたメリットがあったとしても、コンクリート単体で建物の骨組みとして完全に成立させることは残念ながら出来ません。
硬化した後のコンクリートは押される方向の力である圧縮には大きな強度を持っていますが、引っ張る方向についてはあまり大きな強度を持っていないんです。
建物にかかる力は圧縮だけではなく様々な方向の過重がかかりますから、コンクリートの強度だけでは建物の骨組みとして成立しないという事に…
そこで登場するのが鉄筋になります。
RC造のR「補強された」という部分を担うのがこの鉄筋で、コンクリートとは反対に鉄筋は引っ張り方向に対する強度を持っています。
鉄筋ですから圧縮する方向に力がかかるとすぐに座屈してしまいますが、その鉄筋をコンクリートの中に入れることによって、お互いの弱点を補った構造体が完成する訳です。
鉄筋は鉄ですから風雨に晒されると酸化(錆びる)してしまうという欠点を持っていて、当然ですが劣化が早い材料を建物の構造体として使うことは出来ません。
しかしコンクリートはアルカリ性なので、コンクリートの中にある限り鉄筋は酸化することなくその性能を発揮し続けることが出来ます。
コンクリートと鉄筋と、いずれも単体では建物の構造として利用することは出来ませんが、こうして組み合わせることによってお互いの欠点を補うことが出来ます。
圧縮する力にはコンクリートが、引っ張る力には鉄筋が有効に機能していき、劣化しやすい鉄筋をコンクリートが保護することによって建物の構造として成立する。
これはなかなか都合の良い組み合わせだと言えるでしょう。
RC造のメリットはたくさんあって、デメリットも当然あるのですが、そのあたりの詳しい話と納まりについての話はRC造の項目で詳しく解説していこうと考えています。