建物として最終的に見えてくるのは結局仕上材になるけれど、それを固定する為の下地を適切な位置に設定することが何よりも重要になってくる。
前回はそんな感じの話をしました。
考えてみると当たり前なんですけど、実際に下地の検討をする際にはそこまで緻密に考えない、もしくは考えられない場合もあったりするので、それでは後で困る可能性が高いんです。
下地位置を決める作業というのは結構地道な割には大変な作業で、最終的には隠れてしまうけれど適切な位置にないと仕上材を施工する際に問題になってしまいます。
大変だけれど結局は見えてこない部分で、しかもちゃんとやっておかないと後で困るという、下地の検討というのは結構やっかいな作業なんですよね…
しかし逆に考えると、かなりやっかいな作業であるからこそ、きちんと下地位置を検討しておけば後が楽になるという事も言える訳です。
地味だけど重要な作業という困った存在ではありますが、重要だからこそ無視することは出来ない要素なので、下地の位置を検討する際にはしっかり後のことを考えておくことをおすすめします。
ただ、重要な要素とは言っても、下地の位置などを検討する際に仕上材の納まりがあまり明確に決まっていない場合も時にはあると思います。
下地というのは仕上工事よりも結構前に施工するものですから、その時点であまり細かい部分までは決まっていない、という状況はそれほど珍しくはないでしょう。
そうした場合は下地をどのように考えるか。
その対応によって仕上材を施工する際の大変さが変わってくる訳ですけど、検討する為の材料が揃っていない状態では、細かい調整をするのは難しいものがあります。
そうなると、よほどの特殊な納まりではない限り、今まで経験してきた似たような納まりを参考にしながらある程度決めていくしかありません。
「前の場合はこうだったらから、今回もこの程度あれば仕上げられるかな」という位置を想定して下地の位置を決めていく、という感じです。
後である程度の調整が出来るようにという意図で、下地の位置を大きめに逃げておく対応をしておく事によって、仕上工事での選択肢が広がってくる事になります。
ギリギリを狙って下地の位置を決めておくと、想定した通りの納まりが実現できた時には無駄がなくてよいのですが、想定外の状況になった際には対応が難しくなってしまいます。
それならば、あえてギリギリを狙うことはせずに、ある程度大きめに逃げておくことによって、どのような状況になっても納める事が出来るようにしておく方が良いはず。
理想的な話をすると、下地を決める時点で納まりの方針が決まっていて、その検討結果を元にして下地位置を決めるやり方が良いのは間違いありません。
しかし、毎回理想的な手順で進める事が出来る訳ではなく、あまり検討の材料が揃っていない状況で理想を追いかけるのは危険です。
そうした状況にも対応出来るように、ある程度後でどうにかなるような納め方を覚えておく事も、建築のプロとしては重要ではないかと思います。
もちろんそうした機会はあまり多くない方が良いのですが…
ちょっと検討する為の材料が少ないなど、イレギュラーな状況でもきちんと納まりを検討していく事が出来る、というのは結構貴重なスキルになるはず。
そうした納め方を覚えていくには、やはり「ある程度決まった納まりのパターン」をたくさん知識として持っておく事が重要になってきます。
納まりのパターンを知っておかないと、検討の材料が少ない状況では何も判断することが出来ないので、まずはそこがスタートになるはずです。
それに加えて、たとえ納まりのパターンを知っていたとしても、ちょっとそれよりも下地の位置を引っ込めておくなどの慎重な進め方が求められる場面もあります。
納まりのパターンはひとつではないので、それを見越してある程度逃げておく事が、納まりのパターンを覚える以上に重要になってきます。