天井は室内だけにあるのではなく外部にもあります、という事で、前回は外部の天井である軒天の考え方や必要な条件などにつて考えてみました。
雨と風に晒されるという部分が通常の天井とは大きく違っている部分で、そうした条件にマッチする天井下地と仕上材を選定する必要があります。
また、軒天というのは上階の外壁ラインとの関係で発生してくるものですから、そのフロアの平面図だけを見ているではなかなか見えてこない場合もあります。
存在に気が付かない状況になってしまうと、納まりの検討が漏れてしまう可能性もあるので、ちょっとだけ軒天の存在を意識しておく事をお勧めします。
軒天を含めた天井仕上材についての話は一通り終わりましたので、今回は天井の納まり検討という事で、天井の割付をどのように考えるのか、という話を取り上げてみたいと思います。
天井仕上材の目地が目立つもの、それほど目立たないものなど、仕上材の特徴によって割付の重要性は少しずつ違ってくる事になります。
今回はそうした目地の見え方などの話もセットにして、天井の割付をについて色々と考えてみることにしましょう。
まずは実際に天井割付をやってみる為のサンプルとして、非常に簡単ではありますが、下図のようなプランを用意してみました。
階高は4000で天井高さは2800という条件を想定して、上階の梁との関係は問題ない事が確認出来ている、という状態からスタートです。
まずは岩綿吸音板の場合ですが、通常の岩綿吸音板サイズは600mm×300mmの馬貼りが基本になるので、下図のような感じで割付をしていきます。
基本は部屋のセンターを基準にして割付をしていき、壁際で天井仕上材が半分以下になる場合は半分ずらしていく、という考え方です。
これは岩綿吸音板だけの考え方ではなく、基本的に全ての天井仕上材に共通して言える事なので、まずはこの基本方針を押さえておきましょう。
岩綿吸音板は目地が目立たない製品になっているので、天井の割付についてあれこれ細かく調整していく必要はあまりありません。
しかし、例えば10mmなどの細かすぎる天井仕上材が入ってしまうと、そのサイズに切ることが難しくなったりするので、やはり半分以上というルールは守った方が良いです。
長方形の天井仕上材は基本的に馬貼りということになります。
直貼りタイプの岩綿吸音板は910mm×455mmになるので、割付の考え方はほぼ同じで、下図のような関係になってきます。
直貼りタイプの天井仕上材の場合は、天井割付に合わせて軽量鉄骨天井下地を組む事になりますから、後で変更にならないように、しっかりと割付をしておきましょう。
天井下地を組んだ状態で割付が変更になると、石膏ボードに貼るタイプの天井であれば特に問題はありませんが、直貼りタイプであれば天井下地のやり直しが必要になります。
今回紹介したように、天井の割付というのはそれほど色々な事が出来る訳ではないので、意匠的にこうしたい、みたいな要望が出にくい検討項目でもあります。
無難に納まっていれば特に問題ない、というパターンが多くなるはずなので、後から天井割付が変更になる事を避ける為に、変な部分が出ないような検討がポイントでしょう。
直貼りタイプの岩綿吸音板の600mm×600mmの製品は、正方形なので芋貼りが基本となり、割付としては下図のようなイメージになります。
この場合も今までと同様に、壁際の岩綿吸音板が半分以下にならないように気を付けつつ、イレギュラー部分で小さい天井が出来ないような調整をしていきます。
柱型にあわせて目地を入れる、などの調整をやりたくなるかも知れませんが、目地が目立たない岩綿吸音板ではあまり意味がないのでお勧めは出来ません。
天井割付についての話はもう少しあるので、次回に続くことにします。