前回は壁の表面に貼っていく仕上材として、メラミン化粧板とアルポリックの特徴と納まりについて考えてみました。
今回は引き続き壁の表面に貼っていく仕上材として、化粧ケイ酸カルシウム板の特徴と納まりについて考えてみる事にしましょう。
□化粧ケイ酸カルシウム板
ケイ酸カルシウム板も壁下地として時々採用されますが、基本的に素地になることは少なく、塗装仕上げになる場合がほとんどです。
しかし化粧ケイ酸カルシウム板はその名前の通り、既に仕上がっている商品なので、貼るだけで壁仕上げとしては完結することになります。
ただし化粧ケイカル板の色は上記のように単色が基本になるので、意匠的に見せたいところで選択するのは結構難しいものがあります。
化粧ケイカル板が採用されるのは、病院の手術室の壁とか実験室の壁など、クリーンさを求められる部屋が多くなります。
病院などで積極的に使用されるのは、強度が高くて硬質な表面となっていて、なおかつ耐薬品性能もあるという化粧ケイカル板の特徴によるところが大きいです。
表面は非常に平滑になっていて、濡れても拭き取ることが容易だという特徴もあるので、水回りでなおかつクリーン度が必要なところに向いている仕上材だと言えます。
化粧ケイ酸カルシウム板の納まりは上図のようになっていて、採用される部屋の用途にもよりますが、クリーン度が必要な部屋では目地をシールする場合が多いです。
納まりとしてはあまり複雑にはなりませんが、建具廻りの取合い部分をシールするとか、目地の位置をどこに合わせるのかなどの検討が必要になります。
石膏ボードに貼っていく仕上材についていくつか紹介をしてきましたが、商品の数量としては結構たくさんあるので、このあたりで終わりにしておくことにします。
Dボード・メラミン化粧板・アルポリック・化粧ケイ酸カルシウム板のいずれも、商品には定尺寸法がありますから、まずはその寸法を押さえておく必要があります。
これらの仕上材を貼ろうとしている壁に対して、それぞれの仕上材の最大寸法がいくつになっているのか、というのは非常に重要な要素になってきます。
天井までを一枚の板で貼っていくことが出来るのか、それともサイズが足りないので横にも目地が必要なのか、という違いは意匠的にかなり大きなポイントになってくるはず。
要するにそれぞれの仕上材サイズを把握しておき、タイルと同じような感覚で割り付けを検討しておく必要がある、ということです。
工場で製作して現場で貼っていく為にも、きちんと目地の位置を決めて割付けを確定させておき、製作する板の大きさを決める作業が必要になります。
大きさは比較的自由になるので、タイルの割付けほどシビアにはなりませんが、意匠的に綺麗に見せたい場所で採用する仕上材なので、事前の割付け検討が重要になってきます。
というあたりの話で、これらの仕上材についての話は終わりにします。
こうした仕上材はたくさんあるので、本当に様々な選択肢がある中で、意匠的に適切な仕上材を選定するのは結構大変な業務だと思います。
しかし設計者としては、選定する為の選択肢を少しでも増やしていくことによって、それぞれの場所で適切に仕上材を決める事が可能になる訳です。
やはり選択肢の種類を増やしておくのは重要な事なので、積極的に選択肢を増やしていくようにしていくことをお勧めします。
ちょっと特殊な壁仕上材についての話はこれで終わりにして、次回は壁仕上材についての話を簡単にまとめてみることにします。
かなり長くなってしまった話をまとめるのは難しいかも知れませんが、何とか簡潔にまとめられるように頑張ってみたいと思います。