色々な部分で製作図は作図されていきますが、スタートのレベルが低い製作図がたくさん作図されている、という状況になると、それぞれの製作図を整合させるのにかなり苦労することになります。
本来であれば製作図は施工図をベースにして確認していくことになるのですが、施工図自体がそこまで具体的な情報を盛り込めていない場合には、指針となる情報があやふやになってしまいます。
例えば隣り合った部分を表現している二種類の製作図AとBがあったとして、製作図Aでは「施工図では製品が成り立たないので製作図Bの製品を小さくしました」という調整をしていたとします。
しかし製作図Bでは「施工図では製品が成り立たないので製作図Aの製品を移動しました」という方針で作図していたとしたら、それぞれの図面が不整合という状態になります。
そうした煩雑な状態になってしまうと、せっかく製作図で細かい部分まで検討した図面を作図したにも関わらず、それぞれの図面で好き勝手に調整しているような図面ばかりでどうにもなりません。
整合が取れていない状態の製作図を元にして、工場で製品を製作してきたとしたら…現場で取り付ける際に「これでは納まらない」ということに当然なってしまいます。
工場で製作してきた製品が現場で取り付け出来ない…
この状況になるのが製作図を進める上で最も困ることで、実際にそうなってしまうと、その先でフォローしたりが非常に難しくなってしまうんです。
工場で製品を製作して現場で取り付けというのは非常に効率が良いのですが、製作してきた製品が間違っていると現場ではどうしようもない、という現実があるんです。
効率が良いやり方であるが故に、その流れから外れてしまうと逆に効率は悪くなってしまうことになるので、そこだけは慎重に進めないといけません。
製作図の不整合という最悪の状況を避ける為に、施工図と製作図の関係、そして製作図と製作図の関係をしっかりと確認する事が施工者の業務になっていきます。
製品を現場で取り付けをしてみた結果、適切な大きさではないことが分かった場合、現場で出来ることはそれほど多くはありません。
現場ではただ取り付ける準備だけをしている訳ですから、大きさを小さくするなどの対応など出来るはずもなく、結局新しい製品をもう一度製作するしかない可能性が高い訳です。
工場での製作には時間がある程度かかりますから、製作してもう一度現場に運んでくる間は、その周辺の施工がストップしてしまうことに。
そして当たり前ですけど、製作してきた製品はその場所に取り付けが出来ない訳で、もちろん別の場所にも取り付かない製品になって、もう廃棄するしかないという非常に勿体ないことになります。
現場で色々調整出来るものであれば、例え多少間違っていたとしても、現場ですぐに修正することが出来るのですが、それが出来ない製作物を間違えてしまうと非常に厳しい状況が待っています。
無駄に時間と手間がかかり、それに加えて取り付けが出来なかった製品を廃棄するなど、ダブルで余計な手間とコストがかかってしまう事に…
製品を工場で製作して現場で取り付けるというやり方には、何事もなく取り付けが出来た時の効率の良さと、そうではなかった時のリスクがあるという事です。
コストと時間的な無駄をなくしてスムーズに施工を進める為には、施工図と製作図の不整合がない状態を保っていく必要があります。
施工者としては、製作図の状態を高いレベルで整合させていくことが現場を進める為の大きなポイントになり、その為にかなりのマンパワーをかけていく事になります。
人間がやることですから、どんなに細心の注意を払って図面を確認していっても多少は図面の不整合が出てくることに。
これはある程度仕方がない事ではありますが、それを限りなくゼロに近づけるべく日々図面の確認をしていくことが施工者には求められる訳です。